〈愛莉子side〉
この前、瀬戸兄弟に助けてもらった後。
どうやら私は寝てしまったらしいわ。
気付いたら隣で寝ている和人さんと、「はやく出て行け」と言わんばかりの気迫で「お疲れ様でした」を連呼する暁人さんと遥華。
遥華、いつの間に起きてたのね。
まあそんなことはどうでもいいんだけれども。
あの日、私は風邪を引かなくてよかったわ
お父様に遥華は熱を出して来れないって言われた時、なんであんな雨ごときに熱なんて出すのか不思議になったわ。
私はこんなに元気なのに。
あの子は体が弱いのかしら。
最近、遥華の無表情以外の顔を見ていない。
いつ見ても、無。
いくら見つめても、感情が読み取れない。
人形になっちゃったかしらと思うことも増えてきた。
遥華の無以外の表情が見たくて、あんなカマかけることを言ったけれど、無反応。
でも、いつかあの子の絶望した顔が見たい、そう思うようになっていった。
今回だっていいチャンスだったのに、遥華は沙良とかっていう瀬戸家のお手伝いの人とばっかり話してるから、全然ダメだった。
なんかさ、ムカつくのよね。
