『キャァァッ!ワインが私のドレスにっ!』


『古畑様、うちの娘が申し訳ありません!ほら遥華!』


『ごめんなさい、つい手が滑ってしまって……』


『あなたね、このドレスいくらすると思ってるのよ!?弁償してくれるのかしらっ!?』


『大変もうしわけありませんっ!』


『謝るだけで許されることと許されないことがあるのよっ!』



必死に頭を下げる、親とワインを零してしまった少女。

白いドレスに赤ワインをかけられた女の顔は真っ赤になり、ひたすら叫んでいる。



『あなた、本庄家よねっ!?古畑グループが支援するという話、取り消させて頂くわ!』


『ど、どうかお考え直しを…!っ大変申し訳ありませんでした!』


『ごめんなさい!!』



パーティに来ていた全員が自分は関係ないとでも言うように目をそらしながらも注目する中、



『おい』



小学生中学年と思わしき1人の少年が女に向かってそう言った途端、ざわめきが止んだ。



『な、なによ!』


『その人たち、謝ってんじゃん。許してあげなよ』


至って冷静にそう告げる少年に、そのことに更に怒りで顔を赤くして、女は叫んだ。