「こちらこそ、お招きいただきありがとう。奥さんのことは、お大事にしてくれ」
草伽社長はゴホン、と咳払いをする。
「私は草伽グループ社長、草伽慎。こちらは、妻の愛佳と、娘の愛莉子だ」
そう紹介された愛莉子と愛莉子の母親は微笑みながら軽く礼をした。
だがさっきからずっと愛莉子の目線の先はあの双子で、礼がなんともおぼつかない。
暁人は気付いているのかその端正な顔を微かに歪ませているが、和人は相変わらず呑気な顔のままだ。
愛莉子、暁人にバレてるぞ……バレてることに気付けよ……
「私は草伽様に仕えさせていただいている白鳥です」
白鳥が優雅に礼をする。
さすが代々草伽家に仕えてるだけあり、様になっている。
あーあ、めんどいなぁ。
「愛莉子様の側付き、本庄遥華でございます」
私の挨拶に一瞬表情を変えた瀬戸社長だが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
……私が本庄家の娘だってこと、バレたかな。
私はまだ気付いていなかった……
––––––この時、1人微かに表情を強張らせた人がいたことを……
