「はじめまして、瀬戸家の皆様の身の回りのお世話をさせていただいております、益子と申します」
そう深々と頭を下げた、いかにも堅苦しい益子さんに「草伽家だ、どうぞよろしく」と言って軽く会釈をした草伽グループ社長。
「さあ、こちらへ」
門を通過した益子さんに続き、草伽一家と、私と白鳥が大きな門をくぐった。
その後長い廊下の先で瀬戸社長と2人の男の子が待っていた。
おそらく、双子の兄弟なのだろう。
「今日は来ていただき感謝する。瀬戸グループ社長、瀬戸昭二だ。こちらは息子の和人と暁人。妻は今風邪で寝込んでおり、会わせることができないが、ご了承願う」
そう紹介して頭を下げる瀬戸社長に続き、2人は礼をする。
兄の和人の方は私より色素が薄いライトブラウンの髪に、どこか爽やかさを感じさせるすらっとした顔立ち。いかにも優しそうかつ正直そうだ。
それに比べて、弟の暁人は真っ黒な髪に、鋭い目。口元に笑みを浮かべてはいるものの、どこかぎこちない。
2人の纏うオーラは、似ているようで、全く違う。
ん?この感覚、どこかで……
思い出せない。ただ、もどかしさが募った。
