シンデレラの残酷なガラスの靴は如何に




まあ、仮に私が傷ついたって、その顔をみすみす見せるなんて馬鹿な真似はしない。


はぁ、なんで私はこんなに愛莉子に振り回されなきゃいけないのか……。


しかし、こちらも雇われの身。

こうなったからには、仕方ない。

白鳥さんに駅まで送ってもらい、電車に乗って、ダッシュで家まで帰った。


こういうことは多々あるから、ちゃんとお泊まりセットは用意してある。


黒いリュックごと引っ掴んで、また来た道を戻った。







『秀弥、ごめん今日私愛莉子について行って瀬戸家に泊まることになった。夜ご飯はどこかコンビニとかででも買って。その分のお金はあとであげるから』



ぽちっとメールの返信ボタンを押すと、ため息をつきながら助手席の背もたれにもたれかかった。


「本庄もほんと、大変だよな」


運転席の白鳥が言う。


この車、なんと運転席と助手席、後部座席の間に壁がある。

壁の向こう側ではきっと草伽一家が楽しく会話でもしているのだろう。

だが、それをできるのはこちらも同じだ。



「私はいいんだけどさ、秀弥が……まだ小学生だから」


「あ、小5だっけ?今日はお袋も泊まり込みなんだろ?」