その理由はおそらく2つ。
1つ目は、瀬戸家にいる二卵性の双子だ。どちらもものすごいイケメンとの話。
愛莉子は顔だけはまさにお嬢様だし、家柄のこともあり、とてもモテる、らしい。
らしいというのは、これは全部愛莉子に聞かされた話だからだ。
自慢げに話す愛莉子の鼻を何度へし折ってやりたいと思ったことか。
どうせその2人のことも狙っているのだろう。
2つ目は、私の絶望した顔を見るため。
昔は3家とも同じ立場だったのに、没落した私だけが下だ。
それを再確認させられた私は更に絶望する……
––––––そう踏んでいるのだろう。
普段私は気持ちが顔に出るタイプではない。というか無意識に隠してしまう癖がある。
愛莉子にとっては、それが気にくわないらしい。
どこまでも、自分勝手な女。
というかそもそも、私は別にあの頃の贅沢な生活をしたいわけじゃない。
元々は庶民の出、お父さんが苦労して会社を大きくしてくれたからあんな生活ができていただけの話。
今だって秀弥ともお母さんとも、仲良くやっている。
唯一心残りなのは、お父さんに感謝の言葉を伝えられなかったことだ。
