「悪いって。急いで準備するから。」
「もう、早く来てよ?外で待ってるからね。」
「おう」
幼なじみという関係から、抜け出すことは出来ないんだろう。それでも、別に構わなかった。こうして朝、わざわざ起こしに来てくれて、毎日クラスで一緒にいられて、それだけで十分幸せだから。
バタバタと服を着替え、1階のリビングに降りると姉がのんびり朝食をとっていた。
「姉ちゃん、邪魔だから早く飯食えよ!」
「何、あんたが起きるのが遅いのが悪いんじゃない。また、咲ちゃんに迎えに来てもらってんの?」
「うるさい!」
「やだやだ、照れちゃって。悠斗、ほんとに咲ちゃん大好きだね」
「…あーもう!いってきます!」
「はいはい、いってらっしゃい。」
姉の遥は、俺の気持ちを知っている数少ない存在だ。協力してくれるのはありがたいけど、毎朝、こんな風に言われてしまうとさすがに参る。
「あ、待って!」
「な!?」
玄関を出ようとして不意に呼び止められ、振り返ると目の前にゼリー飲料が飛んできて、慌ててキャッチする。
「ちょっとぐらい、なにが食べながら行きな!」
「ねーちゃん、サンキュ!」
姉に背を向けると、玄関から出た。
「悪い、おそくなった!」
「もう、しょうがないなぁ。ほら、早くしないと遅れるからね。」
俺が咲と投稿できる日は、月曜日の朝のみ。あとの日は、いつも野球部の朝練があるから登校はバラバラ。でも、月曜日の朝だけは、俺が寝坊するのを見越して、毎回起こしに来てくれる。そんな、優しい幼なじみだ。
…やっぱ好きだな。