pipipi…


「…ぇ…ねぇ…え……ねえ起きてって!悠斗!」


「ふぁー…もうちょい頼むよ…」


「ダメに決まってるでしょ!もう、早く起きて!」


「うぅぅ…」


泣く泣く、うっすらと目を開けるとムスッとした表情で俺を起こす幼なじみの姿が見えた。こいつは生まれた時からずっと一緒にいる腐れ縁の藍原咲。名前の通り、いつも周りに笑顔で花を咲かせるような子だ。そして、


「何ぼんやりしてるの!早く支度して!」


俺の保護者のような、初恋の相手。


この気持ちに気づいたのは小6の頃、今から3年前の話だ。何か特別なきっかけがあった訳じゃない。でも、この子とずっと一緒にいたい、これから先、守っていきたい。そう思ってしまった。


でも、俺はこいつに1度も想いを告げられていなかった。答えは単純。振られるのが、この心地良い関係を崩すのが怖かったんだ。それは、きっとこれからも変わらなくて。