あなたを忘れていいですか?


「なんか、疲れました…」

更衣室でいのちゃんが呟く。
あれから、森下さんは落ち着きをみせ静かに夜が明けた。
でもその代わりに橋本先輩の受け持ち患者さんが急変し、高杉先生が再度呼ばれた。

80代の男性患者さんが高血圧性の頻脈発作。
何とかもちなおしたと思ったら、今度は救急外来からの連絡。
急性心筋梗塞の疑いがあり、内科的処置が必要なため緊急入院。
絶対安静の指示が出された。
高杉先生と小山田先生は大活躍。

「今日はすごかったわ。」

「ですね、でも乗りきった感がすごいですね。」

橋本先輩の覇気のない言葉に、同感するもやりきった感が気持ちいい私。

「明日は先輩達は日勤ですか?」

「私は休みよ。」

「私は日勤だ。」

橋本先輩はお休み、私は日勤。

「私も日勤です、そして納涼会です!」

そうか、もう明日か。

「楽しみね。」

橋本先輩が嬉しそうに言い、私といのちゃんもにこやかに頷いた。