あなたを忘れていいですか？

「弁膜症を疑ってるんだ。
あちらの病院での心エコーの画像を見させてもらったんだけど、大方間違いないと予測している。
どのくらい悪いのか自分の目で確かめようと思って。
明日、心エコーの予定だからその結果でオペかな。」

森下さんのデータを見ながら顎を擦って話す高杉先生は、いつものゆるい高杉先生ではない。
真剣な表情は、看護師達が騒ぐように色男だと思う。
イケメンってより色男の方が似合う。

「それじゃ、医局で夜食でも食べようかな。」

と、白衣をひらりとさせ詰所から去って行った。

「焦りました…入院してすぐに発作だなんて。」

後輩のいのちゃんが呟く。
ホッとした表情は本当に焦った証拠。

「落ち着いたところで、記録書いちゃおうか。」

橋本先輩の言葉で、私達は大量に残った記録を始めた。