夜勤の始まり、慌ただしい時間がやってきた。
受け持ちの患者さんのバイタルチェック、点滴管理、就寝前の内服薬の確認、そして数ある心電図モニターとのにらめっこ。
入院された新患の森下さんは、五十代には見えない若さと品があり儚さを持ち備えた女性だった。
男なら守ってやりたくなる女性。
これは、この女性の遺伝子を頂いた息子ならイケメンだろうに、と思った。
一目見た時田、なんとなく見たことあるような感覚を覚えた。
初対面じゃない感じ。
今のところ発作は起きてないようだから、このまま朝まで何事もなく経過してくれればいい…
と、思ったのもつかの間、消灯も一時間ほど過ぎた時だった。
突然鳴り響いたナースコール。
見ると、森下佐和子さんから。
「森下さんのとこに行ってきます。
ドクターコールが必要でしたらナースコール鳴らします。」
心電図モニターの電極を持ち、森下さんの病室へと急ぐ。

