「やべーなトンダ、
 もう逃げらんねーぞ。
 まずはここで軽くボコって、
 そのあとオレらのツレ呼んで・・・」


全身の力を両足に集中させ、

アタシはモドキに飛びかかった。

不意を突かれて

行動の遅れたモドキの顔面に

勢いを乗せたヘッドバッドを叩き込む。

先手必勝!


「アタシの名前は、
 恩田だっつーの!」


おでこにやわらかい軟骨が

ぐにゃりと潰れるイヤな感触。

先ほどと同じ箇所に

さらなる攻撃を受けたモドキが

ぐばあっ、

とうめいた。

後ろにのけぞるその頭を

アタシは両手でしっかりと掴む。

乱暴に引き寄せると

モドキの顔面に

今度は膝を力任せに叩き込む。


 1発。「がっ、てめ・・・」
 2発。「ごっ・・・」
 3発。「・・・」
 4発。「・・・」
 5発。「・・・」


アタシの膝は飛び散る返り血で

みるみる染まっていき、

頭を掴んだ手を振り解こうと

もがくモドキの手から力が抜けた。