びゅんびゅんと

後ろへすぎて行く景色を見ながら

気がついた。

やべ、アタシそんなお金持ってないじゃん。

あわてて財布の中身を、

運転手さんに見つからないよう

こっそりと確認する。

お札(もち千円札)がいち、にい、さん。

3枚。

小銭がええっとごひゃくと、ろくじゅうに円。

昨日がたまたまおこずかいの日だったから

アタシにしちゃ持ってるほうだけどどうよ。

〇〇駅までのタクシー代っていくらだろ

こんな長距離乗ったことないからわかんない。

メーターを覗き込む。

現在2880・・・あ、2940円に変わった。

ひゃーこれってやっぱり足りないクサイ?

外を見るけど〇〇駅まではまだまだかかりそう。

どうしよう。

とりあえず所持金ぎりぎりまで

走ってもらうしかないか。

でもそれじゃあ電車に追いつけないかも。

ああどうしょ。

そんなアタシの苦悩などおかまいなしに

メーターは刻々と増えつづける。

あひゃーもうすでに3500円オーバー。

ついでにアタシの月のおこずかいの額もあっさりオーバー。

なにこれタクシーってそんな高いの

ぼったくりじゃん、

やくざよやくざ。