そして、さっきのドレスを着させられ、髪の毛もセットされる。


こんな綺麗にしてもらうのは、女の子として嬉しいことなのに、心が全く踊らない。

誰だかわからない、私を捕らえた人の花嫁なんて、嬉しいわけがない。


ここに来た時からずっと頭から消えない、
あの人の花嫁だったら…なんて考えると涙が溢れた。



ああ、私はあの人に惹かれているのか。
こんな時に自分の気持ちが分かるなんて残酷だ。

涙と一緒に気づいた気持ちも懸命に抑え込む。



もうあの人には会えない。
勝手に自分で王宮を出たんだから、助けなんて期待してはいけない。


とにかく今は情報がなさすぎる。

そう思い、私を見て嬉しそうに笑う彼の花嫁だろうがなんだろうがやってやろうと決意する。