「半分はそうかも知れないね」

そう言った柴崎さんに、
「は、半分ですか？」

私は首を傾げた。

「半分は神田川さんに取られたくないから、もう半分は神田川さんが大切な人だから…と、僕はそう思っているんだ」

柴崎さんが言った。

「私が大切な人、ですか…？」

「あくまでも、僕の解釈だから」

柴崎さんはそう言い返して、フフッと笑った。

「別に本当の夫婦になっても構わないよ。

“形だけ”の結婚を提案してお互いをあわせたのは僕だから」

「ほ、本当のって…」

「神田川さんは、ひーくんのことをどう思っているんだい？」

柴崎さんが聞いてきた。

「私が北居くんを、ですか？」

聞かれて考えてみたけれど、
「仲のいい友達、ですかね」
と、答えた。