後は柴崎さんから返事がくるのを待つだけだ。

そう思ってスマートフォンをテーブルのうえに置こうとしたら、スマートフォンが震えた。

「えっ？」

画面に表示されたその名前に、私は目を疑った。

「柴崎さん…？」

柴崎さんから電話の着信だった。

画面をタップしてスマートフォンを耳に当てると、
「…もしもし？」
と、声をかけた。

「神田川さん、柴崎です」

スマートフォン越しに聞こえた声は、やはり柴崎さんだった。

「今、お時間は大丈夫ですか？」

私が聞いたら、
「うん、大丈夫だよ。

ひーくん、今は取引先の会社に出かけているんだ」

柴崎さんは答えた。

「それで、この間の件と言うのは」

「おつきあいするかどうかと言う返事なのですが」

続けて聞いてきた柴崎さんに、私は話を切り出した。