「好きな人は作ってもいいって言うルールじゃん。

僕たちは“形だけ”の夫婦なんだから」

そう言った北居くんに、
「そのつきあいたい相手が北居くんがよく知っている人だったら、どうする?」

私の問いに、北居くんは手を止めた。

「僕がよく知っている人?」

「そうだな、例えば…柴崎さん、とか?」

「えっ、シバさん?」

「あくまでも例えだから」

「シバさんかあ…」

北居くんはどうしたもんじゃろかと言う顔をした。

「シバさんがバイなのは今に始まったことじゃないけど…」

柴崎さんがバイだと言うことは知っているみたいだ。

「でも、神田川がシバさんとつきあいたいとなると…うーん、なかなかの三角関係だな」

北居くんは天井をあおいだ。