「なるほどね」

柴崎さんはブロッコリーを差したスティックをチーズにつけると、
「はい、ひーくん」
と、北居くんに差し出した。

「ありがとう、シバさん」

「熱いから気をつけてね」

「うん」

北居くんはフーフーと息を吹きかけて冷ました後、ブロッコリーを口に入れた。

「うん、美味しい」

「フフッ、それはよかった」

…実に仲良しでございますなあ。

彼らのラブラブっぷりを目の前で見せつけられた私は、気づかれないように息を吐いた。

ま、私たちは愛だとか恋だとかで結婚するんじゃないですし。

あくまでも、“形だけ”の夫婦になるんですし。

籍を入れると言えば入れますけど、基本は別居ですし。

結婚したら、私も好きな人を作る訳ですし。

そう思いながら、私はじゃがいもをかじった。