ふといよりの横を見ると、一葉ちゃんは俺達の様子を見ながら、スプーンの動きを止めない。

 離婚して幾度となく後悔していることを話したからこそ、一葉ちゃんは俺に理解を示してくれているのか。

「なぁ、いより、好きな人、いないんだろ」

「……いない、けれど」

「だったら、俺のこと見るだけでも、見てくれないかなって」

「駿ちゃんの、ことを……?」

「うん、俺のことを、もう一度」

 誓ってフラ付かないことを、第三者である一葉ちゃんの前でも断言し、俺は宙に浮かんでいたいよりの手に、自分の手を重ねた。