実家近所の人に借りた軽トラに荷物を載せながら、私は一度アパートの中にいるはずの駿ちゃんを振り返ったものの、駿ちゃんは外に出てこない。

 全てが過去になろうとする中、離婚したいと言ったのは自分なのに、駿ちゃんのことが完全に嫌いになったわけではない。

 時に喧嘩をしても、笑い合って、ふざけて、甘い時間を重ねてきたのは事実で、私は三年間駿ちゃんしか見えなかった。彼のことを、心から愛していたのだ。

「……さようなら」