幸せな人を羨み、妬むことはないだろうものの、どうしても駿ちゃんとの式や披露宴を思い出してしまうだろう。記憶は過去に引きずり込まれ、ギリギリ私を苦しめる。

 全ての準備が整い、夫婦やプランナーの篝さんに松本さん達を待っていると、彼らは正午少し過ぎにレストランにやって来た。

「ご結婚、おめでとうございます」

 スタッフ全員で迎え入れると、夫婦は幸せそうに頭を下げてきた。

 ウェディングドレスを脱いで、一度私服に着替えた花嫁さんだが、緩い編みこみのされた可愛いヘアスタイルに、写真に映える派手目の化粧を施し、松本さんと一緒に奥の更衣室へと通された。

 これからヘアスタイルの変更や、メイク直し、ここで着るドレスに着替えなければならない。