明日美と話をしているとだんだん落ち着いてくる。
それに、話を聞いてもらうだけでいくばくか心って軽くなるものなんだ。
そんな私の空気を感じ取ってくれたのか、明日美がちょっと遠慮がちに言う。

「あのさ、知ってるかもしれないけど、紅林さんの離婚原因って奥さんの浮気らしいよ。」

「えっそうなの?何で知ってるの?」

「…大島さんに聞いたんだ。」

まさかの大島さん登場に、私は驚いた。
大島さんったら、本当にお節介なんだから。
きっと私が“紅林さんがバツイチ”ってばらしてしまったから、探りを入れてくれたんだろう。
大島さんも明日美も、私に甘いなぁ。
ほんのり胸があったかくなった。
てか明日美ったら、大島さんにそんなこと聞いちゃうってことは、二人仲良くなったのかな?

「大島さんと仲良くなったんだ?」

「うん、まあねぇ。」

「そっか、よかったね!大島さんいい人だし、明日美のこと大事にしてくれそうだよね。」

「そういうとこ、可憐のいいとこ。ありがとね。」

「うん?」

何だか照れぎみな明日美の声が新鮮で、私は思わず顔が緩む。

「可憐、クリスマスがダメならお正月だよ!初詣!それ誘おうよ!」

「あはは、ポジティブ~!でもそれいいかも。」

あんなに沈んでいたのにいつの間にか笑い合っていて、気付けば心がすっきりしていた。