そして。。────


あの夏の日…

紘一は、自分がしてきた行為を、生涯…後悔する…


本当は、弟の匡を追い詰める…だけのつもりだった…
それは、いつものように…

紘一は、自分の下僕のようになってしまった…匡に、嫌気がさしていた…

両親や、大人達の前では、いい子を演じなければならない自分も…

紘一の言いなりで、わざと成績を下げ…、イタズラや悪ふざけを繰り返す…意思のない人形のような弟にも…



夏休みの通知表を目にした沙也加…

匡の受持ち担任との面談と、通知表を目にした沙也加…

はぁ…っと、ため息をついた…

『この、答案用紙。1度、正解を書いて…消された後があるんです…』

と、匡の小学校の女性担任教師との面談で、沙也加は目の前に置かれた答案用紙を目にした…

そこには、数枚の答案用紙…、平均的な点数は取れてはいるが…、このテストのどこが?…という気持ちだった…

『どういうことでしょうか?』

『これらは全て…匡くんが4月から受けたテストです。
彼、わざと成績、落としてますよ…』

『わざと?』

頷き返した教師は、続ける…

『全て…、正解を記入してます。
学校でも、注意していますが…お家でも、気をつけて見て貰えませんか?
何か、事情があるのかもしれませんし…』


その、受け取った答案用紙…、薄くではあるが…消された…後があった…

『分かりました。本人に、それとなく…聞いてみます』


と、不安に苛まれながら…、胸の鼓動を落ち着かせようと…胸元を抑えた…