最初にある記憶…は、背の高い男の人に、この大きな屋敷に連れてこられた時の記憶だった…

その日のことは、印象深く…今になっても覚えているほどだ…


それ以前の記憶は、不思議と何も無かった…

「匡、ここが君の新しい家だよ」

と、自分の手を引いている…その人に言われたのだ


その人のことですら…、僕は、誰なのか?…と、その時、聞かれたら…曖昧だった…

いきなり現れ…《お父さんだよ》と、言われたから…実感も何も無かった…


ただ、その日…
僕を迎えに来た…という。その人に連れていかれる…その日。。

初老の男の人が頭を下げ…《お願いします》と。
その後ろで、女の人が泣いていた…《たっくん、元気でね》と。




僕は、守られていた場所から…
外の世界に、連れ出されたのだ。。