「こんにちは…」




また馬鹿でかく鈴の音を鳴らさないように慎重にドアを開けた。







「いらっしゃませ〜」




反応してくれたのはカウンターに立ってテーブルを拭いていた
赤髪のお兄さんと同い歳くらいの男の人。



あ、れ、誰この人。

ってそりゃ日によって店員は違うでしょ、
と1人で突っ込みながらまたカウンターに腰掛ける。





「だいぶ寒くなりましたね〜」


「ホントですよ、ここまで歩いてくるのがしんどいです」


「え?歩き?!」




うすうす気付いていたけどこのお兄さんだいぶ面白い反応をする。

今のも字面ではわかんないけど、もう目ん玉飛び出てるし近くのコーヒー豆が入っている缶を倒すし…




「…ははっ、そんな驚きます?」





久しぶりに笑っている感じがする。
ある程度他人だからか、何も意識せずに楽に話せる。





するとお兄さんは驚いたような表情をした。






「わあ、笑うんだね君」


「は、」



いや失礼すぎるでしょ。
すぐにまた表情が戻ってしまう。





「あぁ、ごめん!!てか注文何にする??」




「えーっと、ホットミルクお願いします」






メニュー表も見ずにスマホを見ながら答えると頭上から「え?」と聞こえてきたので顔を上げた。






「それはうちでは取り扱ってないんだわ…」

ごめんね、と手を合わせるお兄さん。



「え、でもこの間……」

作ってもらったんですけど、と言おうとすると








「あるよ、ホットミルク」



知らないうちに入口に赤髪のお兄さんが立っていた