『なによりあなたが負けたのは、私を見くびっていたからよ。まだ子どもだって、妹みたいだからって』
見くびっていたのだ。セシリアはいつまでもルディガーにとって変わらない存在だと。親友の妹で、ルディガーにとっても妹のようで、後を追いかけてくる小さな子どもだった。
それがいつのまにこんなに綺麗になって、剣の腕を磨いて、自分のよき理解者になって、手放せない存在になったのか。守ってやらないと、と思いながら守られていたのは自分の方だった。
「とっくに妹にも子どもにも思えない。もうずっと前から俺の負けだよ」
セシリアの穏やかな青色の瞳が揺らめく。みるみるうちに涙が溜まり、ルディガーは目尻にそっと口づけた。セシリアは目を閉じて受け入れる。続けておもむろに唇が重ねられた。
「副官を降りるなんて許さない。俺のもので一生そばにいるんだろ」
強く言いきるルディガーに苦笑しつつセシリアはルディガーの右頬に手を伸ばし、指先でなぞる。セシリアから彼に触れるのは滅多にないことで、縮まった距離に応えたかった。
「なら、もうあんな無茶はしないでください。心臓が止まるかと思いました」
「善処するよ」
ルディガーは触れていたセシリアの手に自分の手を重ね、指を絡める。そのまま自分の口元に持っていき彼女の掌に口づけた。
「俺の幸せを願ってくれるのは有り難いけど、俺を幸せにできるのはエルザでもなければ他の女性でもない。シリーだけなんだ……だから俺と結婚してくれるね?」
射貫くような眼差しに、真摯な声。セシリアとしては動揺よりも困惑の方が大きい。ほんの少し間を空けてから眉尻を下げて小さく答えた。
見くびっていたのだ。セシリアはいつまでもルディガーにとって変わらない存在だと。親友の妹で、ルディガーにとっても妹のようで、後を追いかけてくる小さな子どもだった。
それがいつのまにこんなに綺麗になって、剣の腕を磨いて、自分のよき理解者になって、手放せない存在になったのか。守ってやらないと、と思いながら守られていたのは自分の方だった。
「とっくに妹にも子どもにも思えない。もうずっと前から俺の負けだよ」
セシリアの穏やかな青色の瞳が揺らめく。みるみるうちに涙が溜まり、ルディガーは目尻にそっと口づけた。セシリアは目を閉じて受け入れる。続けておもむろに唇が重ねられた。
「副官を降りるなんて許さない。俺のもので一生そばにいるんだろ」
強く言いきるルディガーに苦笑しつつセシリアはルディガーの右頬に手を伸ばし、指先でなぞる。セシリアから彼に触れるのは滅多にないことで、縮まった距離に応えたかった。
「なら、もうあんな無茶はしないでください。心臓が止まるかと思いました」
「善処するよ」
ルディガーは触れていたセシリアの手に自分の手を重ね、指を絡める。そのまま自分の口元に持っていき彼女の掌に口づけた。
「俺の幸せを願ってくれるのは有り難いけど、俺を幸せにできるのはエルザでもなければ他の女性でもない。シリーだけなんだ……だから俺と結婚してくれるね?」
射貫くような眼差しに、真摯な声。セシリアとしては動揺よりも困惑の方が大きい。ほんの少し間を空けてから眉尻を下げて小さく答えた。


