「彼女たちの遺体は血を極限まで抜かれていたんです。亡くなった原因もそれでしょう。だから目立った外傷がなかった。死斑が薄いのも無理ありません。その状態だからなんとか荷車に載せて運べたんです」
人形のような冷たさだけを瞳にたたえているテレサはいつもとはまるで別人だ。セシリアは説明を続けた。
「遺体発見時、いつも雨が降っていたのも偶然じゃない。そのタイミングをあなたは狙っていたんです。発見された遺体が、あまりにも軽いと彼女たちの亡くなった原因が発覚してしまう。だから衣服や髪が水分を吸って重くなった状態で発見されるよう試みた」
「私は雨の予言までできてしまうのね」
皮肉めいた言い方にセシリアは答える。
「ヴェターという花なんですね。最初、この家を訪れたとき、庭に割いていた濃く青い花が、次に訪れたときは薄い水色だった。あの花は雨が降る前に色が変化すると聞いています」
一見、そこら辺の野草と間違えそうなほど花に特徴はない。だからあまり気に留めていなかったが、訪れたときで色が異なっていたのを思い出した。
おそらくあのときディアナの遺体はすでに荷車に載せられていたのだ。ドリスの家から戻り、セシリアやジェイドと別れてから、雨が降りそうなタイミングで遺体を運んだのだとセシリアは踏んでいる
「ドュンケルの森の入り口付近に遺体を放置したのもベテーレンの花があるからです。人目にもつかず、獣に遺体を荒らされる心配もない。襲われて出血量の少なさなど疑われずにすみますからね」
そこでテレサは口角をにっと上げた。いつもの朗らかさはなく妖艶なものだった。
人形のような冷たさだけを瞳にたたえているテレサはいつもとはまるで別人だ。セシリアは説明を続けた。
「遺体発見時、いつも雨が降っていたのも偶然じゃない。そのタイミングをあなたは狙っていたんです。発見された遺体が、あまりにも軽いと彼女たちの亡くなった原因が発覚してしまう。だから衣服や髪が水分を吸って重くなった状態で発見されるよう試みた」
「私は雨の予言までできてしまうのね」
皮肉めいた言い方にセシリアは答える。
「ヴェターという花なんですね。最初、この家を訪れたとき、庭に割いていた濃く青い花が、次に訪れたときは薄い水色だった。あの花は雨が降る前に色が変化すると聞いています」
一見、そこら辺の野草と間違えそうなほど花に特徴はない。だからあまり気に留めていなかったが、訪れたときで色が異なっていたのを思い出した。
おそらくあのときディアナの遺体はすでに荷車に載せられていたのだ。ドリスの家から戻り、セシリアやジェイドと別れてから、雨が降りそうなタイミングで遺体を運んだのだとセシリアは踏んでいる
「ドュンケルの森の入り口付近に遺体を放置したのもベテーレンの花があるからです。人目にもつかず、獣に遺体を荒らされる心配もない。襲われて出血量の少なさなど疑われずにすみますからね」
そこでテレサは口角をにっと上げた。いつもの朗らかさはなく妖艶なものだった。


