秋人と抱き合って安心した。

しかし、何か足りない気がした。

「君には恋人はいるのか?」

「え?まぁ、一応。」

「一応ってなんだ?遊びなのか?」

「いえ、真面目に付き合っています。」
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「今日は40点だ。」

低い…。

「社長、毎日外回りする必要はありますか?」

「今日は、ここで来客を待つ。」

桐谷社長は、憂鬱な顔をしている。

「桐谷社長お客様がお見栄になりました。」

「おお、桐谷君久しぶりだね。」

妙に馴れ馴れしいおっさんは大手食品会社の社長である。

「初めて会った時はあんなに小さかったのに今や立派な青年だ。」

「うちの会社とは長いよ。君のおじいさまの代から続いている。」

「すみません、社長、今回限りで契約を解除してくれませんか?」

聞いていた汐里もえ?という顔になった。

「君は、何を言ってるのか分かってるのか?」

「はい、断腸の思いです。」

「何か問題か?」

食品会社の社長の顔が真っ赤になっついる。

「それをお答えする義務はありません。」

食品会社社長は、重い腰を上げて帰ってしまった。

桐谷社長は、ソファーの上で呆然としていた。

汐里は、コーヒーを入れて桐谷社長に出した。

「50点。何でブラックなんだ?」

「それのほうが社長らしくなれると思いまして。」

「自分らしさなんて捨てた。」

「君に何が分かる?社長に就任してたくさんの人間を切り捨ててきた。」

桐谷社長は、髪の毛を掴んでイライラするように言った。


「分かりません。でも、吸収合併されていきなり社長の秘書になった気持ちが桐谷社長に分かりますか?」

「…。今日は疲れた1人にしてくれ。」

家に帰ると秋人がニュースを珍しく見ていた。

「ただいま。何でニュース見てるの?」

「おかえり、いやさ、○○食品会社が脱税とずさんな衛生管理をしてたみたいだからさ。」

「え?それって…。」

桐谷社長と昼間会っていた社長の顔もテレビに出ている。

確かにあの人は頭がキレるかも…。