「おはようございます。」

「今日の予定は?」

「はい。」

汐里が今日の予定を言うと、よしと社長が言った。

「50点」

「50点?」

「君の今日の総合査定だ。」

社長は、醒めた瞳をして言った。

「社長、あの…。」

「俺は桐谷豪だ。名前聞きたかったんだろ?」

人の心も読めるのか…。桐谷、どこかで…。

「仕事に行くぞ。」

「あ、はい。」

午前中の外回りが終わると

「お菓子を買ってこい。」

「はい。」

チョコレートは嫌いでポテトチップスと炭酸だったよね。

コンビニでこんなに悩んだ事はなかった。

「よし、60点。炭酸はグレープフルーツ味が好きでポテトチップスは薄塩が好きなんだよ。」

「え?じゃあ買い直して来ましょうか?」

「お前は、バカか?そんな時間はない。」

細かい男…。秋人ならわたしの料理に口を出した事はない。

それが優しさと思うが…。

午後の仕事も外回り。

オフィスでパソコン入力してる時は機械みたいだったと思うぐらい大変だ。

「70点。」


仕事が終わった後に言われた。


「君の今日の総合査定だ。自分でも甘いと思うぐらいの高得点だ。」

「はぁ…。」

70点は高いのか低いのか汐里には分からなかった。

「汐里!」

会社の玄関口で学生時代からの親友の工藤明美に会った。

「明美、どうしたの?」

「わたしも同じ会社よ。」

どうやら明美の話だと吸収合併の前まで桐谷社長の秘書をしていたらしい。

二人で居酒屋に入った。

「どう?桐谷社長は?」

「俺様社長だね。細かい男って感じ。」

「汐里は、タイプじゃないのかな?」

「全然、無理。」

明美は笑顔になった。

「わたしは、片想いしてたよ桐谷社長に。」

「え?どこが良いの?」

「ルックス、学歴、社長。これが揃ってるんだもん。惚れないほうが無理だよ。」

「ありえない。明美には優しかったの?」

「優しかったよ。穏やかだけどてきぱき仕事は出来て…。でも、お父さんが前社長ね、亡くなってから性格がガラリと変わったかな…。」

そのとばっちりが今のわたしの立場か…。