何なんだこの

違和感

人の体を借りている感じだ。


俺は、誰?



社長だ! …。仕事に行かなくてわあ

「兄貴大丈夫か?」

豪は、弟も覚えていなかった。

「兄貴は、人を一番大切な人を庇って階段から落ちたんだ。」


「一番大切な人?」

「片岡汐里さんだよ。兄貴の秘書の。」

「分からない…。分からない…。」

汐里は、病室の廊下で声を殺して泣いていた。

子供も産まれてこれからって時だったのに。

1人の子育ては孤独だった。


子供の事を思えば笑わなくてはいけない。

でも、実際は心の中は涙でぐちゃぐちゃだ。

もう少しで明美も子供を産む。

今だに、豪を押した犯人は分かっていない。

社長だから恨みを買う事はたくさんあったはずだが…。

汐里は、それより


豪の記憶が戻る事を願っていた。