「二ノ宮さんは何か言ってた?」

その質問に、私は首を横に振って答えた。

「えっ、何も言わなかったの?」

そう言ったゆかりに、
「違うの、すぐに逃げたから何も聞いてない」

私は言い返した。

「何で逃げたのよ…」

それに対して、ゆかりは呆れたと言うように息を吐いた。

「もういいじゃん。

もう終わったことなんだからそれでいいじゃない」

私がそう言ったら、
「私はそう思わない!

ねえ、連絡先は知っているんでしょ?

二ノ宮さんと交換したんでしょ?」

ゆかりはまた早口でまくし立ててきた。

「したと言えばしたけど…」

「じゃあ、今すぐに連絡して話をしようよ!」

「何の話をするって言うのよ?」

「だから…ほら、いろいろだよ!」

ゆかりはテーブルのうえに置いてあった私のスマートフォンを手に取った。