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「践さんと何の話をしていたの?」

厨房に戻ると、妻のまひるが話しかけてきた。

「別にそんなたいした話じゃないよ」

そう言った凱に、
「結構込みあった感じがしてたけど」

まひるは言い返した。

よく見ているなと、妻の様子に凱は心の中で呟いた。

「おおまかに言うならば、このままで終わらせるなって言うところかな」

「おおまか過ぎるね…」

「終わりたくなかったら追いかけろって」

そう言った凱にまひるはクスッと笑うと、
「追いかけるの好きだね」
と、言った。

「ああ、好きだよ。

でも追いかけないと手に入らなかったものもあるから」

そう言い返した凱に、
「そうだね」

まひるは返事をしたのだった。

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