まひるさんの姓である高畑家に婿入りする形で凱は彼女と結婚したのだ。

家も会社も何もかも全てを捨てて、まひるさんと共に生きることを選んだのだ。

「まあ、とにかく追いかけろ。

その人がそれこそ践の手が届かないところへ行ってしまう前に追いかけろ。

このまま終わるのは、践だって嫌だろ?」

そう言った凱に、俺は首を縦に振ってうなずいた。

「それに、まだ気持ちは伝えていないんだろう?」

「伝える前に逃げられたんだ」

「そうか…まあ、彼女を追いかけて気持ちを伝えるんだな」

「わかってるよ」

俺が返事をしたことを確認すると、凱はフッと笑ってその場から離れたのだった。

その姿を見送ると、彼は厨房へと足を向かわせていたのだった。