閉園時間が近づいてきたので、私たちは動物園を後にした。

「楽しかったですね」

声をかけてきた二ノ宮さんに、
「久しぶりにきましたけど、とてもよかったです」

私は答えた。

「もし小山内さんがよかったらですけど…」

「はい」

「この後、一緒に食事をしませんか?」

二ノ宮さんが言った。

「食事ですか?」

そう聞き返した私に、
「兄が働いてる洋食店なんですけど、久しぶりの顔見せも兼ねて…」

二ノ宮さんは照れたように答えた。

顔見せって…それって、お兄さんに私を紹介するって言うことだよね?

いや、違うか。

そもそも、私たちはつきあってすらもいない。

それに、今日の目的はそれじゃない。

「――ごめんなさい!」