「えっ、何?」

「嫌じゃないです」

私は首を横に振った。

「嫌じゃないです…だから、手を繋いでください」

そう言った私に、
「うん、わかった」

二ノ宮さんは返事をすると、手を繋いだ。

自分でも不思議だと思った。

手を繋がれたことを嫌だと思わなかった。

何より、嫌じゃないと言っている自分に驚いた。

私、一体どうしちゃったんだろう?

これが二ノ宮さんとする最初で最後のデートで、本当のことを説明して謝ろうと思っているのに…。

自分でもどうしてこんな行動をとったのか、よくわからない。

何でそんなことを言ったのか、全然理解できない。

二ノ宮さんと一緒に手を繋いで動物園へと向かいながら、私は何度も疑問を繰り返した。