待ち合わせ場所である動物園の最寄り駅へと向かうと、すでに二ノ宮さんの姿があった。

グレーの大きめのパーカーにジーンズ、足元はスニーカーだった。

ほとんど私と同じようなその格好だけど、背の高い彼が着ているその姿はまるでモデルみたいでよく似合っていた。

「二ノ宮さん」

そう声をかけると、二ノ宮さんは私に視線を向けた。

「おはよう」

あいさつをしてきた二ノ宮さんに、
「おはようございます」

私はあいさつを返した。

「この前とは違う格好だね」

私の服装を上から下へと確かめるように見ながら、二ノ宮さんが言った。

「この方が動きやすくて楽なので…」

呟くように答えた私に、
「いいと思う」

二ノ宮さんは言い返した。

「い、いい?」

何が“いい”と言うのだろうか?