「ちょっと座って」

ゆかりは私をソファーに座らせると、その隣に腰を下ろした。

すぐに帰ろうと思ってたんですけど。

「お姉ちゃん、せっかくのチャンスを人にあげるのはよくないよ。

相手はお姉ちゃんがいいと思ったから名刺を渡したんでしょ？」

出たよ、俺様何様ゆかり様の説教タイムが。

私は当てつけだと言わんばかりに息を吐くと、
「元はゆかりが参加する予定だったんでしょ？

私はあなたの代役としてパーティーに参加して名刺をもらった。

つまりは小山内ゆかりとして私はその人から名刺をもらったんだから、それはゆかりにあげるの」
と、言い返した。

「それに名刺を渡したのは社交辞令かも知れないじゃない」

さらに言い返した私に、
「何て言われて渡されたの？」

ゆかりは聞き返してきた。