「嬉しい」 気づけば 千代の震えは止まっていた。 「あのね、私 あんまり家にいたくなかったんだ」 笑顔を浮かべていたが 辛いという感情がすぐわかる。 千代の家は離婚する。 それが決まったのは春の終わり頃だったらしい。 千代の家は警察官で お母さんは介護士さんだ。 働いている時間がばらばらで 一緒にいる時間が作れなかったせいじゃないかと 僕のお母さんは言っていた。