前略、さよなら



拓海は無言でバスケットボールを投げつけ
ゴールを指差し
自分と僕を交互に指差した。


「口で言えよ」

「1on1だろ。わかれよ」

「わかってたよ」


拓海と僕の間からは
火花が散っていた。


僕はTシャツの袖を肩まで捲り上げて
ボールをつく。

僕は拓海より身長が低いから
ゴールを奪うのは
容易ではないだろう。


よし、決めた。


僕は動き出した。

右からドリブルで切り込んで
持ち前のスピードで
拓海のディフェンスを振り切り
シュートを放つ。