「なにそれ!おばけじゃん!」 千代は「えー」と嫌そうな顔をしてから 「私は犬か猫だと思うけど」 と苦笑いした。 目の前の信号は赤色だった。 車の影もなかったので渡ってしまってもよかったのだが 千代にはそういう発想はなかったようだ。 トートバッグから水筒を取り出して 蓋のコップに麦茶を注いだ。 「水筒持つよ」 「あ、ありがとう」