前略、さよなら



「あぁ、そんな。

そんな、ごめんね、千代

ごめん、気づいてあげられなくて」

千代のお母さんも泣いていた。


「ちょ


ちょっと待てよ!


待ってって!


何を言ってるんだ!」


引きつった顔で
千代のお父さんが笑う。


声は大きかったり
小さかったり
まちまちだ。


「なにかの間違いだ!

大げさに言ってるだけなんだよ!


だいたいなんだよ、時旅って・・・・・・

バカバカしい」

「あなたは黙って」

千代のお母さんが振り返って
にらみつける。


「前から、時々
不思議に思うことはあったわ。

傷や痣を見つけることはあった。


でもそれを隠すのは
陽くんと遊んでついた傷だから
だと思ってた。

でも、違ってたのね」