前略、さよなら



無理やり笑ってみせると

千代が僕の手を握り返した。


少し遅れて

新聞紙をくちゃくちゃに丸めたみたいに

千代の顔が歪んだ。


「わあああああああああぁぁぁあああ!」


今まで聞いたことない

爆発みたいな叫びだった。


たくさんの涙も

その声も

きっと千代がずっとずっと

内側にため続けたものだ。


「千代・・・・・・」


千代のお母さんが
千代を抱きしめた。



「お母さん、お母さんっ・・・!」


僕は千代の手を離した。
そして千代はすぐ千代のお母さんを
抱きしめ返した。


「陽くんが言ってることは
本当なのね?」


千代は答えられるような状態じゃなかった。


でも代わりに千代は必死に頷いた。