前略、さよなら



本当は嫌だ。


千代ともっと一緒にいたい。


いろんな千代を見てみたい。


いろんなことをしてみたい。



千代のいないこの町も

学校も

僕は知らない。



心のどこかで

夏休みが終わってほしくないと
思ってた。


何度も諦めようかと思った。


諦めれば

千代がこの町にいてくれるから。



でも今はきっと

ちゃんと言える。


「もういいんだ」


千代の手を握る。


痛くないように、でもちゃんと。


ほっぺを流れる涙はくすぐったいけど

千代の手を離さない。



「ありがとう。

この町に残ろうとしてくれて。


嬉しいけど


僕らは・・・・・・」


鼻水まで垂れてきた。

でもいいんだ。

かっこ悪くてもいいんだ。


大切な人とのお別れなんだから。


「僕らは


お別れしなくちゃいけないんだよ」