前略、さよなら



「じゃあ

あのラクガキも
千代のためのものなの・・・?」


千代のお母さんの質問に
頷くと、また涙が落ちた。



「千代がこの町を出ていくまでの間も

できるだけ千代を守ってあげたかった。


できるだけ

お父さんを家から話そうと思って」


1年前の
この夏休みに戻ってきた日の晩


僕は千代が心配で

千代の家へと向かった。


外から中の様子を探っているうちに
植木鉢を倒してしまった。


千代が言っていた
家を覗いていたやつ
というのは僕だ。