前略、さよなら



1年前の僕と

千代のお母さんは口を押さえる。


心に黒い煙のようなものが充満して

気持ちが悪いのかもしれない。


僕も最初にこの話を
聞いた時にそうなった。


「だから僕は思ったんだ!

千代に最高の夏休みを過ごしてもらおうと!


楽しくて

僕のことだって

この町のことだって


もうなんにも思い残しが
なくなるくらい

最高の夏休みにさせようって
思ったんだ!


そしたら、千代は

この町から出て行けるかもって・・・!」


叫ぶと、目元の涙が
宙へと飛んでいった。

目の奥からは
すぐに次の涙が出てくる。