前略、さよなら



リュックにありったけのお小遣いと
日記帳を詰め込んで

時旅神社のもとへと走った。


祠への道を何度か探したことはあるが
今までに見つけたことがなかったから
本当に出来るか不安だったが


なぜかその日は
探したはずの場所に
今まで見たことのない道ができていた。


許されるために必死だった僕を

富漁の神様は
かわいそうだと思ったのか

うるさいと思ったのかわからない。


僕は祠の前に導かれるように行った。


そして祈った。



____もう1度、中学1年生の夏休みをやり直させてください。



顔を上げた時

夜だったはずの祠の周りは

昼になっていた。



町を歩くと

1年間の間になくなったはずの
海辺のほったて小屋が
まだそこにあった。


夢じゃないかとほっぺをつねっている時に

僕は通学路で中学生が何人か
騒いでいるのを見つけた。



「なんでそんなに弱っちいんだよ!

嫌なら嫌って言えよ!!」


そう叫んで
1年前の僕が千代から離れていった。



✲*゚