「なんで
お父さんから逃げなかったの・・・
お母さんと一緒に
離婚した時についていけば
よかったじゃないか・・・・・・」
そんなことを聞いたのは
その理由は
本当は自分で
分かっていたからだ。
「陽と・・・・・・」
千代の目から、涙がこぼれた。
「陽と、
仲直りしたかったから・・・・・・」
その瞬間
空気が全部真っ黒な鉄の塊に
変わって
僕を押しつぶした。
千代の両親は離婚の時に
どちらについて行きたいか聞いた。
そして千代は答えた。
「この町に残る」
と。
僕と喧嘩したまま
お別れしたいために。

