どんどん大人になっていく。私も。


 ふと顔を横に向けると、画ビョウを持って黙る目と合う。じっと見られていたようで何か言おうと思ったら、先に向こうが何を思ったのか「っあ」たじろいだ。
 
 小さな入れ物が傾き、廊下に落ちる。バラバラバラ…。
 画ビョウが廊下にぶちまけられた。


 慌てて動いた志藤君に「こらいきなり動くな」という。面白いくらいに急停止して「すみません」と謝った。


 古いポスターを箒のように使い、集めればすぐに済む。

 入れ物にすべて入れ直し、蓋をしめる私に「先輩」と志藤君か呼ぶ。なにまだ画ビョウ?と思ったが、違う。




「あげます」

「いきなりすぎじゃない?」

「これでほら、元気だして下さい。まだポスターあるんで」



 ポケットから出したらしい、その箱ごとくれたのは「キャラメルって、案外甘党なんだねー」だった。
 キャラメルなんて、と少し懐かしく感じる箱を、私はありがたくそのまま貰うことにした。



「それから先輩」

「なに?」