学校内のどこかにいるはずだが、イチャイチャカップルの中に突撃する勇気はない。

 夏になるとみんな開放的になるのか、気がつけば彼氏彼女の関係となり、学校でも見かけることが増えた。へーそうですかーと、頬杖つきながら小さく溜め息をつき、私だって頑張ろうと意気込んでいたのに。


 いいなと思う人は大体彼女がいる。
 いいなと思う人は大体私になんぞ興味はない。


「リア充めっ…」

「人はそれをひがんでいる、というんですよ」


 全くその通りである。だからこそ行き場のない色々な固まりのようなものをもて余す。



「というかみんなさ、じわじわきてるんだよね」

「じわじわって?」

「可愛いとかそういうのだよ」

「意味がわからないんですが」

「だから、みんないつのまにか可愛くなりやがってしまってるんだってこと」

「先輩も何とかすればいいじゃないですか」

「何とかって、じみに酷い」




 志藤君はさらりと、普通のことのようにいう。

 可愛くなるのにも努力は必要なのは知っている。わかっている。死ぬほどわかっている。

 私に女の子らしくなんて、自分らしくなくて窮屈で。けれど選ばれるのはそんな女の子だからなんとか目指そうとしても、私は私でしかないと気がつく。