「……」
あ、握手とか
まだ、無理だよ……。
震えないように
自分の両手をギュッとつかんで
小さく深呼吸した。
「タイゾーく~ん? 玉井先輩、やめるワケじゃあないんだから、握手とか重くない?」
貴梨香が笑って
海老君をなだめてくれて
「野山さん、最初にお願いなんですが、オレ名前呼びNGですから!」
「そうなんだ? カワイイのに……」
「男にカワイイはさらにNGです!」
海老君は憤慨して
貴梨香に懇々とお願いをし始める。
よかった、助かった……。
貴梨香のおかげで話がそれて
握手をせずにすんだよ。
「由似ちゃん、動けそう?」
心配そうにアタシを覗き込む
可児先輩と目が合った。
「はい、すみません大丈夫です」
「じゃあ、悠人ヨロシクね」
と小声で、悠人先輩に手を振ると
アタシを即すように
可児先輩は、アタシの背中に手を添え
一緒に会議室を出た。


